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森の湯トップ  English Top 第一章(男声の特質)  歌集トップ  レコーディング方法  森の音響空間

2019/2/23   レコーディングシステムをRubix24に更新

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男声の特質シリーズ第(男声のサウンドスペクトラム的特質について 男声の特質ーその1; ビブラートの性質と倍数波による重層的和音と現代音階の不協和音について その2: 和声とビブラートについて 男声歌唱のオーディオ再生について 男声歌唱のレコーディングにおける留意点 歌唱発声における物理的・身体的要因-進化論的考察 音階移動速度と身体の共鳴空間および部屋の残響時間の関係 第8章 男声アカペラ(独唱)録音における留意点-その3:最大音量について 男性の低音限界発声について 男性の最大声量とスペクトルの歌唱言語による違い 11 男性の身体共鳴周波数と共振支配による発声波形の量子化と声量の関係の解析   声帯振動と非声帯振動の比較と歌声 男性の超広帯域発声ーバスとテノール声区の連結 バスとテノール連結声区の声洞の物理サイズの計算)章
 

第5章 男声アカペラ(独唱)録音における留意点

ー今回のシステム変更・更新の最大の理由は、男声における低音の記録と分析におけるノイズの軽減にあります-詳細は後述ー

1. 録音レベルの設定について

    男声の特徴は、声にパルス的要素があり、5倍から7倍以上の奇数次高調波が高く倍数性が高くなると隣接した偶数次と干渉すること、さらに3000Hz 付近の声洞共鳴が高いということがあります(声洞とは、おそらく咽頭共鳴と類似していますが、解剖学的には”声道”の中の特別の共鳴区画です)。 その上、男声の低音は50Hz以下の発声もあり、思った以上に低音ゲインも十分に確保する必要があるとともにローパスフィルターを使わずに電源ノイズなどの低音ノイズの混入や歪みを回避する技術は不可欠です。 したがって、録音に必要な帯域幅は、通常考えられるよりも高いほうのみならず低いほうにも伸ばす必要があります。 また、一般的なサウンドレベル測定器(騒音計 dBC)では大きな違いがでますので、レベル設定は、波形を観察しながら行う必要があります。  ここで、”伴奏なし”について特別に説明する理由は、残響があったり、伴奏があったり、合唱だったりすると、伴奏楽器や他者の声と特定の個人のボーカルの波形の相互干渉した合成波形(歌声のビンテージ化)となるので、以下の特質は個人差があるため平均化されて緩和すると考えられるからです。 また、もちろん個人差はありますが、声帯や咽頭などの身体的構造や発声制御神経系は基本的に同じで、いわゆる生物学的性質ですので、大なり小なり成人男性全般に当てはまります。 男性の歌唱における声量曲線(発声音階ごとの最大声量)ならびに男声声区との関係は声区(男性声量曲線)にあります。

 再生機器については次を参考にしてください:男声アカペラ歌唱再生に適した機器

図ー1  男性が自由に歌唱発声した場合に含まれる過渡的ピーク


 この図Aは600Hz(D#5)での男性の発声例です。 この場合は、約50cm はなれて計測したサウンドレベルメーターでの声量が95dBほどですが、振幅記録をみると中央の芯のような部分の上下にゲジゲジの足のような線がたくさん見え、その一部では許容された入力範囲をこえて頭が刈られているように見えます。 すなわち、リアルタイムのサウンドレベルでいうと115dBを超えて飽和していることがわかります。男声の特質第一章で紹介したような単純な振幅変調のかかった正弦波であるソプラノの発声と比較すると、男声独特の波形の全体像がわかると思います。  次に図Bに示したように時間軸を拡大すると、このスパイクは周期的で、3つの山の繰り返しのひとつが特異的に高いことがわかります。 発声周波数は600Hzで、5線譜でいうと上の”レ(D5)”ですが、実際はこのようなより波長の短い(周波数の高い)波形が集まって構成された”量子化”状態です。 
   図Cでは、同じような音域の発声ですが、スパイク性はあまり顕著でなくスムーズな感じがしますね。 これを拡大するとDです。 この発声波形は、Aの定常発声から、音階を下げ始めた瞬間の波形をとらえたものです。 この場合は、サウンドレベル計は115dBを示し、記録装置の振幅波形のピーク値とよく一致しています。 波形をみますと、Aと比べると細かいゲジゲジがないように見えます。 拡大すると、より短い周期の波形が3個で構成され、そのうち2個のレベルが高いことがわかります。 すなわち、Aのように3個のうち1個が抜き出て高いとズレが大きくなり、3個のうち2個だと、まあ一致するかなという感じですね。 レベルメーターの信号処理にもよりますが、この特性をよく知っておいてください。 こういったことはレベルメーターではわからないので、図Bに見られるように、知らずに飽和して歪んだ音になってしまうわけです。  ここでは、600Hzの高音域での例を挙げましたが、この丁度Tオクターブ下のD4付近でも、メーターでは感知し難い、スパイク的共鳴が発生しますが、それについては後でまた説明します。 図だけとりあえずこの下に示しておきます。 このゲジゲジの間隔は0.23秒(約4Hz)です。

   また、ここで600Hzの3倍のスパイク周波数、すなわち2700Hz F7が主要成分として構成された、600Hzである、すなわち電気信号としては600Hzではなく少なくとも2700Hzで扱う必要があることがわかります。 繰り返しの長周期(600Hz)全体(音階の基本周波数、D5)では、0.0167秒ですが、この半波長の時間は0.37マイクロ秒(0.00037秒)ですので、信号処理系の192kHz A-Dコンバータでのサンプリング数は時間軸では100 サンプルほどになります。 このことは、2700Hzの数倍の高音特性をもつ必要があるとともに、192KHzのサンプリングが必須であるということになります。 コンデンサマイクロフォンのようなサイズが小さい上に質量の軽い振動体で作られたマイクロフォンでないと対応困難だと思います。 この量子化波形を忠実に記録するためには、レコーディング機器のパルス特性(大信号の立ち上がりと立下り特性)がいかに大事か、また男声ボーカルを録音するとき、低音に留意するより、高音やこのようにメーターに現れないスパイクに留意する必要があるという”逆説的非常識”を理解していだだけるものと思います。 


この左の図(図ー2)は、309Hz(D4)での男性の発声です。 サウンドレベルメーターでは92dBほどですが、振幅スケールは上図A-Dと同じ115dBですので、この音源の最大記録レベルは105dBくらいです。 ゲジゲジのとなり同士の間隔は、約0.23秒(4Hz)です。 詳細な説明は後に掲載しています(第8章第8章 男声アカペラ(独唱)録音における留意点-その3:最大音量について;録音方法)。

男声低音発声:Rubix24 システムによる20Hz付近(D#0付近)の波形

Rubix24による男声超低音波形 20Hz D#0超低音超広帯域_G-1As5_190416-01
低音ノイズが激減した結果、超低音でも明瞭な記録と分析ができるようになっただけではなく、男声の低音から中音にかけての声のざらつきが激減して声が滑らかになった感じがします。
  1. 録音方法   歌集のレコーディング(録音)方法について   男声アカペラ歌唱再生に適した機器

  2. 男声の特質シリーズ第(男声のサウンドスペクトラム的特質について 男声の特質ーその1; ビブラートの性質と倍数波による重層的和音と現代音階の不協和音について その2: 和声とビブラートについて 男声歌唱のオーディオ再生について 男声歌唱のレコーディングにおける留意点 歌唱発声における物理的・身体的要因-進化論的考察 音階移動速度と身体の共鳴空間および部屋の残響時間の関係 第8章 男声アカペラ(独唱)録音における留意点-その3:最大音量について 男性の低音限界発声について 男性の最大声量とスペクトルの歌唱言語による違い 11 男性の身体共鳴周波数と共振支配による発声波形の量子化と声量の関係の解析   声帯振動と非声帯振動の比較と歌声 男性の超広帯域発声ーバスとテノール声区の連結 バスとテノール連結声区の声洞の物理サイズの計算)章
    1. 第1章 男声のサウンドスペクトラム的特質について
    2.  第2章 男声の特質ーその1; ビブラートの性質と倍数波による重層的和音と現代音階の不協和音について
    3. 第3章 男声の特質ーその2: 和声とビブラートについて
    4. 第4章 男声歌唱のオーディオ再生について
    5.  第5章 男声歌唱のレコーディングにおける留意点
    6. 第6章-歌唱発声における物理的・身体的要因-進化論的考察
    7. 第7章 音階移動速度と身体の共鳴空間および部屋の残響時間の関係
    8. 第8章 男声歌唱のレコーディングにおける留意点-その3:最大音量
    9.  第9章 男声の特質ー低音限界発声について
    10.  第10章ー最大音量とスペクトルの歌唱言語による違い
    11  特別章ー男声の発する可聴周波数以下の超低音は聴こえるのか?
    12. 第12章 身体共鳴周波数と共振支配による発声波形の量子化と声量の関係の解析 
    13.  第13章 声帯振動と非声帯振動の比較と歌声
    14.  第14章 男性の超広帯域発声ーバスとテノール声区の連結 14Bバスとテノール連結声区の声洞の物理サイズの計算 

  3. 自然界の音響
    1. 夏の森のセミの喧騒の中に浮かび上がる夏のウグイスの声ーForest acoustics
    2. 春のウグイスの声と森の音響空間

資料室-発声実験解説や音響実験データー理論的考察の解説


      超低音 超低音男性の発する可聴周波数以下の超低音は聴こえるのか?男性の発する可聴周波数以下の超低音は聴こえるのか?
      超低音共鳴ー超低音共鳴男性の超低音発声における周波数解析パターンと身体共鳴の遷移転換男性の超低音発声における周波数解析パターンと身体共鳴の遷移転換
      極低音の共鳴ー男性の発する低音から可聴周波数以下の極低音の共鳴構造男性の発する低音から可聴周波数以下の極低音の共鳴構造
      男性の声区声区よさらば!ー男性歌声の自然な声量とオクターブおよび男性声区との関係声区よさらば!ー男性歌声の自然な声量とオクターブおよび男性声区との関係
      その1-男性の歌声の量子化現象についてー音程と倍数波ーその1男性の歌声の量子化現象についてー音程と倍数波ーその1
      量子化現象その2ー男性の発声の量子化現象についてー音程と倍数波ーベートーベンのトリック男性の発声の量子化現象についてー音程と倍数波ーベートーベンのトリック
      歌声と話し声ーその1-歌声はどこに響いて発生するのかー声洞共鳴の存在について歌声と話し声ーその1-歌声はどこに響いて発生するのかー声洞共鳴の存在について
      声道共鳴と声洞共鳴ー声道と声洞はどう違うのか? 声道と声洞はどう違うのか?
      音程と倍数波音程と倍数波ーその2: 男声における音階と倍数波との和合性と不和合性 音程と倍数波ーその2: 男声における音階と倍数波との和合性と不和合性
      音楽PTSDー音階に関する議論での不足点と音楽PTSDとベートーベンの感性音階に関する議論での不足点と音楽PTSDとベートーベンの感性

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